Haeundae
昔も今も変わらない釜山の人々の「情」に癒されています 福岡市派遣職員 上原里美
今から10数年前に、個人的な旅行で初めて訪れた釜山の地は、今も私の記憶に深く刻み込まれています。港に積まれたおびただしい数のコンテナ群、龍頭山公園から見た夜景、チャガルチ市場の潮の香りと並んだ店々の鮮やかな色彩、「お客さん」という日本語が飛んでくる国際市場の狭い路地、露店で買ったみずみずしくて甘いすももの味、辛い唐辛子を噛んでしまって涙ぐみながら食べたパジョン・・・いろいろありますが、一番忘れられないのは、釜山の人々の優しさや温かさ、いわゆる「情」です。
韓国語も話せず地理もよくわからないのに、無謀にもガイドブック片手に幼い息子を連れてバスターミナルを探していた私は、道に迷って途方に暮れていました。実はバスターミナルは移転していたのです。すると通りすがりの大学生くらいの女性が、最寄りの地下鉄の駅まで案内して、新しいバスターミナルまでの切符を買ってくれました。財布を取り出そうとする私に、お金はいらないと身振りを交えて伝えて、彼女は微笑んで去っていきました。また、その日の帰り道では、お子さんが日本で暮らしているというおじいさんが、歩き疲れた息子をおぶってくれました。そのような体験が、私を釜山ファンにした理由のひとつであることは言うまでもありません。
縁あって、この4月より釜山市庁で勤務することになり、旅行者ではなく住民になり3カ月ほどが経ちましたが、釜山の人々の「情」は10年前も今も変わらないことを実感しています。知っている間柄の人々は、私が元気でいるかいつも気にかけてくれて、温かい言葉をかけてくださいます。また、知っている間柄の人々に限らず、通りすがりの見ず知らずの人々も、困っている私を放っておかずに、助けてくれます。自分の国を離れて暮らす外国人にとって、そのような態度はどれだけ心強く、また癒しとなることでしょうか!いつも感謝しております。それと同時に、私が母国で会う外国人に対して、釜山の人々のような「情」をもって接することができるかというテーマを提示していると感じています。
<資料提供:: ダイナミック釜山 >