釜山市 子どもがいちばん幸せな都市づくりを推進
釜山型統合ヌルボムプロジェクト「あなたのように大切に」は、釜山市・市教育庁・16の区及び郡・地域の大学が協力して、子育てしやすい釜山の実現を目指すという誓いであり、約束だ。(国際新聞、국제신문)
釜山市は、子どもが最も幸せに暮らせる都市を目指して前進している。
昨年7月、子どもの権利を守る活動を行っている国際NGO団体「セーブ・ザ・チルドレン」と、ソウル大学社会福祉研究所が発表した「2024 韓国児童の生活の質」の調査で、釜山は韓国17の市・道の中で1位を記録した。
釜山市は健康・主観的幸福感・子どもの人間関係・物質的状況・危険と安全・教育環境・望ましい人格など、8分野において全国平均を大きく上回る評価を得た。特に、健康・子どもの人間関係・住環境などの3分野では、全国最高得点を記録した。また、釜山が子どもにとって暮らしやすい都市であることは、国際的にも認められている。
釜山市は2019年5月、「ユニセフ 子どもにやさしいまち」の認証を韓国の広域自治体で初めて取得した。「ユニセフ 子どもにやさしいまち」とは、「差別禁止の原則」「子どもの最善の利益を守る原則」「生命・生存及び発達に対する権利」「子どもの意見の尊重」など、国連の子どもの権利条約を遵守し、子どもが安心して暮らせる環境を備えた地域社会に与えられる認証である。
江西(カンソ、강서)区にあるヌルボム専用学校
全国初の統合型ヌルボム「あなたのように大切に」
釜山市は、韓国を越え、世界で最も子どもが幸せに暮らせる都市を目指し、子どものための多様な政策を展開している。その代表的な事例が、昨年1月から釜山市と釜山市教育庁が共に進めている「あなたのように大切に」*1 である。これは、釜山の子どもたちの誕生から教育までを支える、全国初の統合型ヌルボム(늘봄)*2 プロジェクトである。
このプロジェクトでは、生後18か月以下の乳児を集中保育する、釜山市独自の乳幼児クラスや、自宅で乳児を育てる家庭のための、時間制保育サービスを提供している。さらに、保育園と幼稚園の預かり時間を夜8時まで延長している。緊急時には夜間や休日にも常時対応できる保育・ケア施設もある。また、子どもが入院した場合、保護者に代わって病院を訪問し世話をしてくれるサービスも行っている。
その他にも、子育て中の家庭の負担を軽減するため、保育園の特別活動費や校外学習費などを、月に最大10万ウォンまで支援している。子どもが2人の場合は30万ウォン、3人以上の場合は50万ウォン相当の教育支援ポイントを地域通貨の冬柏銭(トンベクチョン、동백전)で支給している。外国籍の乳幼児にも保育・教育サービスを提供できるよう、条例改正も進めている。
*1「あなたのように大切に」とは、親が自分の子どもを大切に育てるように、釜山市も地域の子どもたちを愛情深く守り育てるという理念を表している。
*2「ヌルボム(늘봄)」とは、韓国語で「いつも春」という意味を持ち、ここでは「子どもを常に見守る」「春のようなぬくもりで接する」といった意味が込められている。
「トゥルラック・ナルラック」でロボットと遊ぶ子どもたち
釜山型の子ども複合文化空間「トゥルラック・ナルラック」
最近、「ノーキッズゾーン」の拡大で、子どもが過ごせる場所が徐々に減っている中、釜山には子どもなら誰でも歓迎される「ウェルカムキッズゾーン」が各所に整備されている。釜山型の子ども複合文化空間「トゥルラック・ナルラック(들락날락)」は、アナログとデジタルコンテンツを融合させ、遊びを取り入れた、新しい概念の学習空間だ。
2025年4月時点で、釜山市内では79か所が運営中で、さらに26か所を新たに設置しているところだ。そして、2026年までに、合計200か所以上の開設が予定されている。15分都市、釜山の中核施設である「トゥルラック・ナルラック」は、文化会館・図書館・行政福祉センターなど、地域住民が利用しやすい公共施設内に設けられている。施設には、▽メディア展示空間▽デジタル体験空間▽学習(読書)空間▽室内遊び空間など、多様なテーマの空間が用意されている。
子どもたちはトゥルラック・ナルラックでメディアアートを鑑賞したり、VR(仮想現実)やAI(人工知能)など、最先端技術を体験することができる。また、英語圏出身のネイティブ講師と楽しく英語を学ぶこともでき、ネット遊具や滑り台などがある遊び場では、思い切り体を動かして遊べる。
こうした取り組みにより、釜山市のトゥルラック・ナルラック政策は、昨年11月に開催された「第3回SDGシティアワード」で大賞を受賞した。「SDGシティアワード」とは、アジア・太平洋地域の持続可能な発展のため、優れた都市政策の事例を発掘・共有するための国際的な賞である。
「釜山子ども新聞」のホームページ
自ら取材し記事を書く「釜山子ども記者団」
釜山には、自ら取材し記事を発信する子どもたちがいる。「釜山子ども記者団」は、小学校4〜6年生で構成され、釜山のさまざまな話題を取材し、記事として発信する特別な記者団だ。約200人で構成された子ども記者団は、5月から本格的な活動を開始することになっている。
釜山の主要な行事・祭り・文化施設などを実際に体験し、現場のリアルな声を届ける現地取材を行う。また、釜山で行われる公演・展示・スポーツイベントなどを観覧し、記事にする活動にも取り組む。さらに、人工知能・メディアリテラシーなどの多様な内容をテーマにした特別講義への参加も予定されている。
子ども記者団が作成した記事は、ホームページ(busan.go.kr/kids)に掲載されるほか、優れた記事は、紙媒体の「釜山子ども新聞」にも取り上げられる。「釜山子ども新聞」は、6月中に創刊される予定だ。