韓国人が新年に必ず食べるトックッ
釜山の味 旧正月料理
柔らかい餅に濃厚な牛骨スープがおいしい「トックッ」
韓国は2月9日から、陰暦1月1日を祝う代表的な名節「ソルラル」の4連休だ。ソルラル当日の朝、韓国人は家族で集まり、温かい餅のスープ「トックッ」を食べる。各種チヂミやナムル、焼き物など家庭によってメニューは異なるが、どの家庭でも絶対に欠かせないのがトックッ。
長寿と金運を願うソルラルの代表料理
△韓国人が旧正月に必ず食べるトックッ。錦糸玉子や肉そぼろ、刻んだ海苔などさまざまな具材をトッピングする。
トックッは米で作った長い「カレトッ(棒状の餅)」を葉銭(ヨプチョン、朝鮮時代の銅銭)のように丸形に薄くスライスして煮込んだもの。牛骨スープを塩で味付けし、スライスした餅を入れてよく煮込む。その上に玉子やネギ、海苔を細切りにしてのせ、さらに塩・しょう油などで味付けした牛肉をミンチ状にして沿える。
なぜ新年にトックッを食べるのか。トックッには新年への願いが込められており、丸く長いカレトッはその形のごとく、順風満帆に長い人生を生きることを意味する。トックッに入る細切りの餅は銅銭を連想させ、今年は金運にも恵まれてほしいという意味が込められている。
新年になると各家庭の年長者は食卓を囲み、子どもたちに徳談(トクタム)と呼ばれるお祝いの言葉をかける。この時、度々子どもたちに「トックッを何杯食べたのか」という質問を投げかけるが、ここでは「生まれてから今まで、トックッを食べた回数が年齢」という意味だ。これに因んで「トックッを食べると1歳年を取る」という言葉が生まれた。
餅の代わりに餃子を入れることも
地域、家庭によって異なるトックッ
トックッの調理法は、地域や家庭によって少しずつ異なる。主な材料のカレトッを薄切りにして入れるのが一般的だが、北朝鮮や江原道(カンウォンド)では餅の代わりにマンドゥ(韓国式餃子)を入れたり、マンドゥと餅を両方入れたりする場合もある。全羅北道(チョルラプット)では、豆腐をトックッに入れることもある。
牛肉の代わりに他の材料を入れる場合もある。海が近い慶尚南道(キョンサンナムド)では牡蠣を入れたり、味付けされた牛肉の代わりに塩で味付けし、煮詰めて細かく刻んだ鶏肉を入れたりする場合もある。ミンチ状ではなく牛肉を薄く細切りにし、しょう油で味付けしたチャンジョリム(牛肉のしょう油煮込み)を入れたり、全羅南道(チョルラナムド)では牛肉の代わりにキジの肉を入れたりすることもある。スープは牛肉や牛骨スープを使うのが一般的だが、鶏肉やカタクチイワシ、フグ、牡蠣から出汁を取ることもある。
釜山地域のトックッ人気店
釜山市役所の向かい「チョングクス」
釜山市の公務員が選ぶ、代表的なトックッの人気店。平日のランチ、ディナータイムには必ず行列ができるほど、多くの人が訪れる。店名でもわかるように麺の専門店として開業したが、濃厚なスープの牛肉トックッが人気となり、今では看板メニューとして親しまれている。ククス、ビビンタンミョン(混ぜ春雨)も人気。
〇住所:釜山鎮区中央大路990番ギル7 부산진구 중앙대로 990번길 7
〇メニュー:牛肉トックッ8000ウォン(約890円)
〇営業時間:月~金曜日午前8時30分~午後8時、土曜日午前8時30分~午後3時、日曜日定休日。
イガネソルロンタン
海雲台(ヘウンデ)地域の住民に愛される、ソルロンタン・コムタンの専門店。トックッのベースは牛骨スープのため、牛骨を長時間煮込んで作るソルロンタン専門店のトックッは格別だ。注文すると、黒の石鍋にぐつぐつ煮え立ったトックッが出される。太めの牛肉は柔らかく、餅は噛み応えがある。
〇住所:海雲台区佑洞3路19 해운대구 우동3로 19
〇メニュー:韓牛牛骨トックッ1万2000ウォン(約1330円)、ソルロンタン9000ウォン(約1000円)
〇営業時間:午前8時30分~午後9時、土曜日定休日。