メディアアート展示館、アルテミュージアム釜山オープン
花が咲き滝が流れ、その先に釜山が広がる
7月19日、釜山広域市の釜山港近くの島・影島(ヨンド)に世界最大規模のメディアアート展示館「アルテミュージアム釜山」がオープンした。単純な展示空間を超越した、観覧客の視覚や聴覚、嗅覚を刺激する没入型メディアアート体験空間として人気を集めており、釜山の新たなランドマークとして注目を集めている。
△アルテミュージアム釜山のメイン展示場の全景。
■世界最大の没入型メディアアート展示館
アルテミュージアムは「永遠の自然」をテーマに、自然の素材と空間をデジタルで再現した没入型メディアアート常設展示館。2020年の済州(チェジュ)島オープンを皮切りに香港、ラスベガス、ドバイなど、国内外に展示館を開設し、新たな文化体験スポットとして親しまれている。釜山のアルテミュージアムは8番目の開館で、面積は約5620㎡(1700坪)に至り、8カ所あるアルテミュージアムの中で最大規模を誇っている。釜山の数ある自然の風景や文化的要素をモチーフにした「循環(CIRCLE)」をテーマに、他地域の展示館で観覧客から好評を得た「ウォーターフォールインフィニット(WATERFALL INFINITE)」を含む計19作品を展示している。このうち、16作品は釜山で初公開される新作だ。
△アルテミュージアム釜山の外部の全景。
■自然・芸術・技術が調和した夢のような空間
[CIRCLE 循環]展示場に入ると、漆黒の闇が広がっている。暗闇に少しずつ慣れてきた頃、眩しい黄金の砂が上空に浮かび上がり、回り出すデジタルアート「循環(CIRCLE)」が観覧客を出迎える。暗闇と対比し、輝く光の輪は太陽のように堂々たる存在感だ。循環を筆頭に、幻想の世界への旅が始まる。
△展示場に入ると最初に目に入る作品「循環」。
■[WATERFALL INFINITE 滝]慌ただしく次の展示場へ向かうと、今度は夏の暑さを吹き飛ばすような、涼やかな滝の音が聞こえてくる。四方から流れ落ちる水しぶきをメディアで再現した滝だ。鏡を使うことで空間が無限に拡張し、圧倒的な雰囲気と規模を体感できる。ここでは「セルカ(自撮り)」を撮ると、鏡の効果で双子や三つ子になったような気分も味わえる。
△ライブスケッチブックガーディアンズを体験中の子どもたち。
[FLOWER ROSE バラ]次の展示場には濃いバラの香りが漂っている。入ると、愛らしく華やかな無数の花びらが空間を埋め尽くす。うっとりするようなバラの空間で舞う花びら、その合間を蝶々が舞う。ここはヴィンセント・バン・ゴッホの名作「ROSE」の中のバラが咲き誇る過程を演出した「オデッセイローズ(ODYSSEY ROSE)」とつながり、バラに囲まれた世界の究極の美を体験できる。絶えず繰り広げられる花の世界を楽しむあまり、同伴者とはぐれたり、迷子になったりするケースが多いため、注意が必要だ。
△釜山のランドマークを感覚的に鑑賞できるスタリー釜山。
[LIVE SKETCHBOOK GUARDIANS]子連れ客や童心に帰った気分を楽しみたい人にはぜひ体験してほしいコース。動物が描かれた紙に思いのまま色塗りし、スキャナーに入れると、自身の描いた動物が動き出し、大型スクリーンの中を駆け回る。
[GARDEN]興奮冷めやらぬ中、最後の展示場「GARDEN」へ移動すると、幻想の世界のフィナーレを飾る「スタリー釜山(STARRY BUSAN)」と「オルセー特別展」が出迎えてくれる。スタリー釜山では色とりどりのコンテナが行き交う躍動感ある釜山港や海雲台(ヘウンデ)海水浴場、海辺列車、広安大橋(クァンアンテギョ)、海の上を行き来する海上ケーブルカー、甘川(カムチョン)文化村、花火祭りなどが大型画面に映し出され、ギュッと詰めこんだ釜山の魅力を観覧できる。釜山の人々のテーマソングとも言える「釜山カルメギ」や「釜山港へ帰れ」が流れ、画面に出てくる場所のうち、行ったことがある場所をを数えながら見るのもおもしろい。
△アルテミュージアム内にある休息空間のカフェ。
「オルセー特別展」はフランスのオルセー美術館と公式ライセンス契約を結び、同美術館の変遷や一押しの作品をアルテミュージアムの観点でアレンジしている。時間の流れを縮めたように、巨匠たちの名作が次々と映し出され、ほどなくして美術館とヨーロッパの街並みに変わる。音楽と共にゴッホの「星月夜」やミレーの「落穂拾い」など、多彩な作品がゆっくりと映し出される。あちこちで違う作品が映されるため、視線の置き場を探して周囲を見回す人もいれば、のんびり観覧を楽しむ人もいる。
〇観覧所要時間:1時間30分以上
〇観覧料:平日大人2万2000ウォン(約2390円)、週末・祝日2万5000ウォン(約2720円)
〇開館時間:午前10時~午後9時(入場締め切りは午後8時)
※平日、午後遅めの時間に入場すると、ゆとりを持って観覧できる。
〇ホームページ:kr.artemuseum.com/BUSAN
〇アクセス:都市鉄道(地下鉄)1号線南浦(ナンポ)駅6番出口→17、186番いずれかの市内バスに乗車→アルテミュージアム停留場下車→徒歩約3分
一緒に楽しもう…ファンタジーの島・影島
「アルテミュージアム釜山」がある影島は、都心と少し違った独特の風景と美しい自然が魅力の場所。アルテミュージアム行きの17、186番のバスを利用し、近くの有名スポットを回ってみよう。
1.多目的文化施設「P.ARK」
アルテミュージアム釜山に行くと、すぐ近くの多目的文化施設「P.ARK」はぜひ立ち寄りたい場所。展示館や人気レストラン、カフェなどを網羅した場所で、特に4階にあるカフェ「P.ARK」は釜山で最も規模の大きいカフェで知られ、大型の一面ガラス越しにはコンテナが行き交い、躍動感ある釜山港を一望できる。アニメ「ドラえもん」が好きなら、2~3階の展示室で開催中の「ドキドキドラえもん」展に行ってみよう。釜山展示限定版のドラえもんグッズも販売している。展示期間は11月3日までで、観覧料は大人1万8000ウォン(約1960円)。
△アルテミュージアム近くで、影島の人気スポット「国立海洋博物館」。
2.国立海洋博物館
国立海洋博物館はアルテミュージアム釜山からバス停で2区間離れており、海と共に生きてきた韓国の先祖の記録や海洋文化関連の資料を展示している。約70種類の海の生き物が暮らす水族館や海洋の歴史と芸術関連のメディア展示が人気で、海が見える静かな図書館も完備されている。観覧料は無料。毎週月曜日と秋夕(チュソク)連休の翌日は休館日。
△影島の伝統的な観光地・太宗台の全景。
3.太宗台
17番と186番のバスの終点にある太宗台(テジョンデ)は、釜山で海岸の景色を見るのに打ってつけ。奇岩怪石や激しい白波、釜山港を行き交う船が調和し、独特な雰囲気を醸し出している。最近では太宗台の近くにオーシャンフライングテーマパークがオープンし、海上を颯爽と滑降するアトラクション・ジップラインも楽しめる。