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人間と自然が美しく共存する場所-乙淑島

2030国際博覧会の視察団も感動した島 [乙淑島生態公園]


「人間はどのような人生を生きていくのか」


このテーマについて世界中の人々が思いを巡らす場が「国際博覧会」だと言える。2030国際博覧会のテーマに釜山広域市が掲げているのが、「世界の大転換、より良い未来に向けた航海」。このテーマを最もよく表している場所が、釜山の西エリアにある「乙淑島(ウルスクト)生態公園」だ。博覧会国際事務局(BIE)の視察団が今年4月に訪問し、人と自然が共存する環境を前に感動した場所でもある。


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△黄金色のススキが揺らめく乙淑島生態公園。 写真:権晟勲


自然そして回復:

ゴミの埋め立て地が公園に


朝鮮半島で最も長い川・洛東江(ナクトンガン)は川と海が交わる河口につながり、肥沃な三角州と湿地に恵まれている。釜山には乙淑島や華明(ファミョン)、大渚(テジョ)、三楽(サムラク)、麥島(メクト)の5大生態公園がある。各公園はさまざまな植物や動物が生息する生態系の宝庫であり、釜山市民の憩いの場として親しまれている。特に乙淑島生態公園一帯は渡り鳥の渡来地で、川を境に自然と人間が共存する場所だ。洛東江の東側には釜山市内の中心部が広がり、乙淑島には河口の自然がそのまま残っている。春には青々とした新緑を見ることができ、夏には緑が生い茂る。秋には黄金色のススキがなびき、冬になると多くの渡り鳥が人々を出迎える。


今でこそ美しい風景を誇るこの公園だが、過去ゴミの埋め立て地だったことを知る人は少ない。ここは元々洛東江の集積物が蓄積してできた島だったが、1987年、川に河口堰が作られ、徐々に公園へと姿を変えていった。産業が急速な発展を遂げていた1990年代、生活が豊かになったことに伴い廃棄物も増え、1993年から1997年までゴミの埋め立て地として使われていた。2000年代以降、人々の環境への関心が高まり、ビオトープ(生物生息空間)の再生事業が始まった。人口の湿地を造成し、人々の立ち入りを制限するなど絶えず取り組みが行われた。現在では90年代に大幅に減っていた渡り鳥が、再度島を訪れるようになっている。


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△乙淑島で自転車をレンタルし、サイクリングを楽しむ市民。


人間と自然の距離を取った共存


公園の名称は便宜上「乙淑島生態公園」だが、公園の南部(下段部)は渡り鳥公園、北部(上段部)が生態公園で分かれている。生態公園は自然と触れ合い、休息を楽しめる場所で、家族や恋人と遠足気分を味わえるピクニック広場やサッカー場、湖などがある。春は花が咲き乱れ、秋は紅葉や黄金色のススキが訪れた人を出迎える。近くには自転車のレンタル所もあり、サイクリングを楽しむ人も多い。釜山現代美術館や乙淑島文化会館に行くのもおすすめ。


渡り鳥公園では自然が主(あるじ)、人間は客だ。島を訪れる渡り鳥と留鳥の生活の妨げにならないよう、人の出入りを制限している場所が多い。人は徹底して観察者となり、野鳥観察台の小さな穴から渡り鳥を観察できる。


釜山市が立候補中の2030国際博覧会のサブテーマの一つが「自然と持続可能な生活」だ。人間によって汚染されてきた乙淑島生態公園は、再び人間によって再生に向かっている。生態公園で自然に触れ、渡り鳥公園では自然との距離を取る。大自然とどう向き合うか、いかに共存するかを考えてみるのもおもしろい。


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△乙淑島生態公園にある釜山現代美術館。ここは市民や観光客に向け、現代美術をわかりやすく伝えてくれる場所だ。 写真:権晟勲


※乙淑島をより一層楽しもう

1.自転車をレンタルして、公園内をサイクリング

2.黄金色のススキを背景に記念写真を撮り、最高の一枚を残そう

3.洛東江河口エコセンターで電動カートに乗り、渡り鳥公園を探索

(火~日曜日の午前10時~11時30分、13時~16時30分の間に30分間隔で運行。エコセンターの駐車場から出発)