「近代史を体感できる旧都心ツアー、グローバル都市として発展を続ける東釜山ツアーがおすすめ」
△韓国観光通訳案内士協会釜山嶺南支部の支部長・金姫淑さんは、釜山を満喫できる観光コースの一つとして「松島海上ケーブルカー」をおすすめした(写真は松島の海上を行き来するケーブルカー)
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)収束後、釜山広域市を訪れる外国人観光客が大幅に増えている。釜山観光公社の「外国人観光客釜山訪問動向報告」によると、2024年1~4月に釜山を訪問した外国人観光客の数は約73万1000人で、中でも最も多くの割合を占めているのが日本人観光客(約10万8000人)だった。釜山を訪れた日本人観光客に釜山の魅力を伝える人々が、韓国政府から「観光通訳案内士」として認められた、韓国観光通訳案内士協会の会員だ。協会の釜山嶺南(ヨンナム)支部、支部長・金姫淑さんと面会し、最近の日本人観光客の動向や釜山の魅力について聞いた。
[インタビュー]
韓国観光通訳案内士協会 釜山嶺南支部 支部長 金姫淑(キム・ヒスク)さん
現在、釜山嶺南支部所属の会員は全員で429人。それぞれ日本語や英語、中国語など外国語のほか、釜山の歴史や関連法規を熟知した観光通訳の専門家で、韓国文化体育観光部から認められたフリーランサーだ。会員自ら旅行会社を経営している人もいたり、旅行会社と連携して釜山ツアーに同行し、釜山の魅力やまつわるストーリーを伝えている。
金さんは日本語専攻だ。1989年から通訳・観光案内士の仕事を始め、35年間現場で活躍している。「コロナの収束で海外旅行が再び活気を取り戻しましたが、外国人観光客の旅行トレンドは変わりました。当協会は所属会員にこれらの変化を共有し、個人の能力を高め、雇用・労災保険など会員の権益を守る役割を担っています」
金さんは最近、観光業は息を吹き返しているものの、パンデミック前と比較すると完全な回復にはほど遠いと話す。「体感ではコロナ前の40%ほど回復したように思います。日本を旅行する韓国人が急増し、韓国から日本への旅行はコロナ前の水準に戻りましたが、韓国に旅行に来る日本人観光客は航空便の不足で、来られないケースもあります」
釜山に来る日本人旅行客は、主にクルーズや飛行機を使って入国する。金さんはインタビュー前日にも観光案内をしたといい、パンデミック以降、釜山を訪れる旅行客の傾向が大きく変わったと話す。
「コロナ前までは団体旅行や旅行会社のツアー商品を利用する人の割合が多かった反面、コロナ収束後は個別の観光が中心になっています」
観光通訳案内士たちは既存の団体観光客を対象にしたツアーではなく、歴史やエピソードのあるツアープログラムを通じて釜山の魅力を知ってもらうため、最善を尽くしている。
金さんは観光客に釜山を気に入ってもらえるよう、釜山を楽しめる2種類のコースを提案してくれた。「近代歴史が息づいている旧都心ツアー」と「世界的な都市として成長する釜山を感じられる東釜山ツアー」だ。一つ目は甘川(カムチョン)文化村やヒンヨウル文化村、松島(ソンド)海水浴場など、釜山の旧都心一帯を回るツアー。「案内した観光客が最も楽しんでいたのは、松島海水浴場の松島海上ケーブルカー(ロープウェイ)に乗るときです。ぜひ一度体験してほしいと思います」
また機張(キジャン)郡のオシリア観光団地と海雲台(ヘウンデ)を中心にした東釜山ツアーは、発展する釜山の未来を先取りできる場所として、特におすすめだという。
金さんはコロナの非常に苦しい時期を乗り越えられたのは、「案内士たちの釜山と観光業への愛情があったからこそ」と話す。「観光業界の最前線で、日本人観光客に釜山について正確に案内できるのは当協会の案内士です。釜山観光が以前の勢いを取り戻すには、釜山市の政策が個別観光のみに集中するのではなく、観光業界と共生するための政策が必要です」と訴えた。
韓日関係がこれまでになく良好な今、今後より多くの日本人観光客が韓国、釜山を訪れると見込まれている。彼らに観光地・釜山の長所と知られざる魅力を余すところなく伝えるのが、韓国観光通訳案内士たちだ。民間広報大使の役割を担う彼らの活躍を期待したい。