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体も温まって栄養満点の 「テジクッパ」と「ソルロンタン」

冬の寒さが厳しい日は、厚着をしても熱いお茶を飲んでも、冷えた体がなかなか温まらない。そんな時、韓国人は迷わず熱々のクッパを食べに行く。


なぜクッパなのか?


テジクッパ(豚肉クッパ)とソルロンタン(牛骨スープ)は、韓国を代表するクッパのメニューだ。クッパとは、ご飯をスープに入れて食べる料理のことを指す。米を主食とする国は、中国、日本、インド、ベトナム、中央アジアなど多岐にわたるが、特に韓国でクッパをよく食べるようになった理由は、地形的・文化的な特性にある。


朝鮮半島の冬の平均気温は約2℃で、1年で最も寒い1月には平均-7℃まで下がる。冬の期間も12月から2月までの3か月間と長い。さらに、朝鮮半島の土壌を詳しく調べると未成熟な土壌(大部分がエンティソルとインセプティソル)で、農業には必ずしも適した土地ではないとされている。


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△釜山では、テジクッパにニラや特製のタレを入れて食べるのが一般的。(写真提供:ゲッティイメージバンク)
 

冬は寒さが厳しく長いうえに、土壌も豊かではないため、朝鮮半島に暮らしてきた人々は昔からスープ料理を好んできた。スープは体を温める効果があり、少ない材料でもたくさん作ることができるからだ。韓国の食卓にスープ料理が欠かせないのも、ここに由来している。


さらに、韓国で主に栽培される米の品種もクッパに適したものだった。韓国人がよく食べるのはジャポニカ米であり、これは炊き上げるとインドや東南アジア、中央アジアなどで栽培されるインディカ米よりも粘り気があり、ツヤが出る。そのおかげで、スープにご飯を入れると、米にスープの旨みが染み込み、口当たりも滑らかになる。一方、インディカ米でクッパを作ると、スープと米がうまくなじまず、口当たりが悪くなってしまう。


また、韓国人特有の効率性を重視する「パリパリ(早く早く、빨리빨리)」文化も、クッパが広く普及した理由の1つだ。他の料理に比べて調理時間が短く、1杯のクッパで炭水化物・タンパク質・脂質といった必須栄養素をバランスよく摂取できるためである。


◎ テジクッパの名店:シンチャンクッパ(신창국밥)

1969年に国際市場の新昌洞(シンチャンドン、신창동)で創業し、その地名にちなんで名付けられた。ここは、澄んだスープのテジクッパを生み出した店として知られている。新鮮な食材を使用し、昔ながらの「トリョム」(どんぶりに何度もスープをかけて温めては鍋に戻す過程)を守り続けている。また、手作りの北朝鮮式スンデも人気の一品。2024年には釜山の郷土料理店として認定された。

住所:西区宝水大路53

営業時間:午前9時~午後9時(定休日、日曜日)

電話番号:051-244-1112


似ているようで違う、テジクッパとソルロンタン


韓国にはさまざまなクッパがあるが、冬の寒さで冷えた体と心を温めるには、テジクッパとソルロンタンが一番だ。


釜山の郷土料理であるテジクッパは、豚の骨をじっくり煮込んだスープにたっぷりの豚肉を入れ、ご飯と一緒に食べる。テジクッパは、ほかのクッパと違い、豚肉特有の濃厚な風味が際立つ。


店によっては豚の内臓やスンデ(豚の腸詰め)を入れる店もある。そのままでも美味しいが、ニラやアミの塩辛を入れて味を調整したり、粉唐辛子などを混ぜた特製のタレを入れることで、まったく違う味わいを楽しめる。


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△ソルロンタンに刻んだネギをのせると、ネギの香りとシャキシャキとした食感を楽しむことができる。(写真提供:ゲッティイメージバンク)


一方、ソルロンタンは牛の足の骨や膝軟骨などを長時間煮込んで作り、こちらもご飯と共に食す。テジクッパが釜山の郷土料理なら、ソルロンタンはソウルの代表的な郷土料理と言える。


長時間じっくり煮込むため、スープは濃厚な乳白色をしていることが多い。スープに入れる肉は、主に牛のばら肉やすね肉が使われる。刻んだネギをたっぷりのせるのが特徴で、ネギのピリッとした風味がスープの旨みと絶妙にマッチする。


◎ ソルロンタンの名店:ソウルカクトゥギ(서울깍두기)


1956年創業の店で、長年にわたり南浦洞(ナンポドン、남포동)の代表的な名店として知られている。2002年にはAPEC公式レストランにも指定された実績を持つ。その名の通り、ソウルの代表料理であるソルロンタンを、しっかり熟成したカクテキと一緒に提供している。スープは濃厚で、肉は柔らかく煮込んであり、食べやすいのが特徴。シャキシャキとした食感のカクテキは、ほのかな甘みがあり、食欲をそそる一品だ。ここではソルロンタンだけでなく、コプチャン(ホルモン)や牛のすね肉だけを煮込んだコムタンも楽しめる。


住所:中区 九徳路34番ギル8

営業時間:午前8時~午後8時30分

電話番号:051-245-3950